#不思議系小説 第105回「粘膜サンシャイン14.」
干潟のあぶく このババアの後始末もあるだろう、面倒くさいだろうなあ。 折角の指定席だけど、どっか自由席の空いてるところを探して座ろうか。 周囲の視線や雰囲気も、なんだかざわざわしていて居心地が悪い。みんなもババアの死体…
ハイパーグラウンドに ようこそ
干潟のあぶく このババアの後始末もあるだろう、面倒くさいだろうなあ。 折角の指定席だけど、どっか自由席の空いてるところを探して座ろうか。 周囲の視線や雰囲気も、なんだかざわざわしていて居心地が悪い。みんなもババアの死体…
干潟のあぶく ブルースポメニック号はマッドナゴヤを通過し、泥濘濃脂濁砂利土石流をゴウゴウとたたえる木曾三川を跨いでゆく。どす黒い紫色に泥や土が混じって、そこに脂が浮かんだものが絶え間なく波打ち流れてゆく。油膜に乱反射す…
赤茶けた土が剝き出しの山々が連なり、覆いかぶさるように遥か彼方で待ち受ける荒野にひとり。自分の足跡だけが、見つける人も居ないまま点々と残され風に吹かれて砂を浴びる。 誰にも邪魔をされず、誰の邪魔をすることも出来ない、空…
豊かな自然は豊かな社会から! エコロジーとエネルギーとエゴイズムに巣食う病魔のような連中に蝕まれた豊かな社会と自然の成れの果てが、山肌を覆いつくしたソーラーパネルと空虚になった摩天楼の群れだった。スローガンと裏腹に社会…
何処までも広がる深い山。そのさらに奥。雑木林が森になり、道が消えて土くれの坂道が容赦なく傾き波打った大地を延々と歩く。 いつまでも続く暑い夏。7月43日は炎天下の水曜日。カレンダーが塵になり日付も時間もゴミになって散ら…
君と陽炎とアスファルト どうみても安っぽい開襟シャツに趣味が悪くてこれまた安っぽいジーパンに薄汚れた白いスリッポンという今日び硬券の切符よりも珍しい、不健康そうな小太りでパンチパーマに銀縁眼鏡の中年男が、でーんと腰かけ…
君と陽炎とアスファルト 駅。かつては路線バスから路面電車から私鉄の線路から在来線、そして超特急まで様々な列車が行き来していた交通の要衝だったビルヂングも、今ではごく限られた生身の人間だけが我が物顔で闊歩する場所になって…
君と陽炎とアスファルト 青い空と汚れた海に向かって砕けた橋のたもとで、僕は茫然と立ち尽くしていた。 原付のエンジンだけがトトトトトトトト、と飽きもせず同じリズムで動き続けている。 この橋や向こう岸のふ頭を、轟音を上…
君と陽炎とアスファルト 汗をかいた手のひらを繋いで、決して放そうとしなかった君はもう居ない。 トボトボと真夏のアスファルトの上を歩き続けた。海に向かって歩く、ダラダラ続く登り坂。振り返れば真っ白な陽炎。里山も生垣も苔む…
If I Could Fly 地獄の底から響くような野太く低い声が、修羅場であり火災現場の八畳間にこだまする。「この顔を見た奴に、明日まで生きてた奴は居ない」 右手一本で首根っこを掴んで持ち上げ、そのまま宙吊りにして天…
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