#不思議系小説 第75回「GACHI Blue」
青。空も海も山も、みんな青い色をしている。だけど、その青は一つ一つ全然別の色をしている。青い、蒼い、碧い。全部同じで、みんな違う。好きも、すきも、スキも、愛も哀も藍も。きっと全部違う。 人から好かれたことも無い癖に人に…
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青。空も海も山も、みんな青い色をしている。だけど、その青は一つ一つ全然別の色をしている。青い、蒼い、碧い。全部同じで、みんな違う。好きも、すきも、スキも、愛も哀も藍も。きっと全部違う。 人から好かれたことも無い癖に人に…
ふと気づくと一瞬……ほんの数十秒ほどが経過していた。目を開けたまま気絶した挙句、白昼夢を見ていたようだ。後続車から苛立ち切ったクラクションを投げつけるように、ハンドルの中央部を何度も小突く小太りで似合わないうえにイヤミ…
キリキリ鳴ってる目覚まし時計がガラスの破片を絨毯に 蝙蝠の目玉を煮込んで薊蕎麦の漬け汁にしてお立ち合い。僧帽弁閉鎖不全症の特効薬に野次馬集めて万々歳、脂の浮いた漆椀を手に手に総鮫腹(みなさめばら)湾掃討作戦脱出失敗お…
やがて地下通路あらためカタコンベ横丁は螺旋構造の滑り台や宇宙ブランコを備えた地下公園広場と合流し、今や枯れ果てて久しい地下水路を跨ぐ導水橋を渡ってゆく。勿論、欄干の電灯は消えたまま。ポウと浮かんだ極小プラズマ太陽球の白…
湾岸特急カシオペア号からプラットホームに降り立ったのは丸いレンズの眼鏡にフリフリの黒いワンピース、黒髪をショートカットにした君。他に乗客は殆どおらず、流木のような杖を突いたボロボロの老婆がほっかむりの向こうから「おはん…
カンタン手間いらず、いつでも気軽に吸引出来ます! と書かれた新聞広告。三面記事の右下に長方形でレイアウトされた水蒸気式のフラスコ煙草の吸引器。透明な丸いガラス管の中で、ごぼごぼいってるあぶくを見ているだけで随分と遠いと…
ピアノの妙なる調べと、甘美なギターアンサンブル、突き抜けるドラムス、はらわたにブンと響くベースギター 重厚な演奏と軽快な音色とが調和した見事な楽曲だ。まるで穏やかな冬晴れの乾いた青空に白く爽やかな鳥たちが自由に飛び回っ…
夜。暗い部屋。灯りは消したまま。家の外の、街灯のエルイーディが窓から入り込んで来て消したままの丸い蛍光灯カバーを落ちものパズルの玉粒のようにぷよぷよ揺れるさまを照らし出す 揺らぐ蛍光灯カバー、白く差す人工的な光、天井一…
そして滲んだ天井と黄ばんだ蛍光灯がうっすらと実態を失くし、遠近感も薄れ、背中を軸に体がゆっくりと回転し始めた 沈んでゆく。いつもと同じだ、安くて量が多いだけの酒ですらないアルコール飲料で咳止めの錠剤を流し込むと早けれ…
久しぶりに絵でも描こうかと思って、鉛筆をトキントキンにして消しゴムもシャーペンもボールペンも揃えたのに紙が無い。なあんだ、つまらねえな。鬱陶しいめんどくせえ 別段意味もなく、ただ続けざまに口からこぼれ出る悪態が止まら…
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