#不思議系小説 第154回「粘膜EL.DORADO 4.」
まあ、他の地方ではその地域の労働者の仕事を奪うと、仕事を奪われたというのにすっかり項垂れてパーソナルセンターに面接を受けに来るけど……コッチじゃ項垂れて面接どころか血迷ってカチコミに来るからね。それも大勢で。だから独立…
ハイパーグラウンドに ようこそ
まあ、他の地方ではその地域の労働者の仕事を奪うと、仕事を奪われたというのにすっかり項垂れてパーソナルセンターに面接を受けに来るけど……コッチじゃ項垂れて面接どころか血迷ってカチコミに来るからね。それも大勢で。だから独立…
トライアンフオーサカは元々、関西圏における商業と物流の中心地のひとつとして栄えていたことから仕事や物品の需要には事欠かなかった。それに、この地で長らく暮らす人々の結びつきも強く、オーサカは中央や他の地域とは違う、我らの…
労働は変わった。派遣登録された労働者たちは、派遣登録された勤務先に配属され、派遣登録された給料や資材を与えられる。就業前の健康診断の名目で体内にナノマシンが注入され、それによって本人の感情や健康状態なども全て管理し、監…
遠くて近い、荒れ果てた未来。 ニッポンという国は前世紀から百年以上にわたって、もはや開戦の切っ掛けや原因などはさて置き、その責任など誰も負いたくないというだけの理由で日常と化すまでに至るほど続いた内戦の末、さまざまな要…
梅雨と真夏とあいだ。薄暗く陰鬱な曇天と青空のカケラが混じり合う、ここは遠く坂道の多い田舎街。いま午前10時37分。ずっと会いたかった、君に会いに来た。クルマを降りたら暑いというより、湿っぽかった。 真新しい片側三車線…
天使と悪魔とハートと髑髏と、胸元には自分で考えた全知全能のロゴマーク。くるぶしに穴をあけて脹脛を這いずり上がって血潮が満ちてく、膝から肩へ。水着の切れ目から腰、背中、左腋を回り込んで首筋に嚙みついた百足になった猫のモチ…
ごめんね、と、ありがとう、は人間関係においていちばん大事で必要な言葉だけれど「ごめんね、でもありがとう」 と二つくっ付いて一つになったら、それが人間関係の終わりの始まり。 見返りなど求めて居ないはずなのに、打てど響か…
枯れかけたようなブザーが鳴って、バタついた蛇腹のドアが開く。僕はちょっとリズムを取るようにしてステップを降りると、エンジンの轟音だけが低く響く真っ暗闇にヘッドライトとテールランプの光がぼわんと広がっていた。それだけだ。…
2. 僕は彼女に曖昧で投げやりな微笑みを返した。すると、どうもそれがかえってお気に召したようだ。ところ変わればなんとやら、ついでなので適当に名前を聞いて見ると「Meow(みあお)」 と言った。ネコって意味だ。あなたは? …
1. 君が僕の遺書を覗き見たから、僕は君に全てを告げることが出来なくなった。死ぬまで黙って居たかったことを、生きてるうちに覗かれて尋ねられる屈辱もわからない奴を一度は愛し大事に思った。そんな自分を恥じるばかりだ。 心の…
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