思わずミアの顔面を見ると、ミアの目尻からは真っ赤な血が滴っていた。
「ひぃっ!??」
僕は焦って逃げようとしたが、直ぐにそいつに腕を引っ張られた。
その力はとても強く、振りほどくことができない。
そしてまた、耳元で囁かれたのだ。
『―――あの時の約束は?』
「――はっ!!」
俺は飛び起きた。
「はぁっ、はぁ……」
額から汗が込上げる。
苦しくて、俺は胸を必死で抑えた。
「大丈夫かよ、翔真……またあの時の夢か?」
目の前にいるのは、『アレ』ではなく、今の友人だった。
夢でよかったという安心感と夢じゃないことの焦燥感。
チリチリと胸が痛む。
「……そう、だな……」
懐かしくて、思い出したくない昔の記憶。
怖くて、痛くて、苦しい夢。
最後に覚えているのはミアの黒くて汚れの無い目が赤い目に変わった時のこと。
「僕……俺は……っ、」
平和だったあの時から8年後の3028年、俺は23歳になってやっと強くなろうと決心した。
それから2年が経ち俺は今25歳だが、しかし未だに昔の記憶は消えることがない。
「……翔真、辛いのはわかるがしっかりしろよ。俺たちは兵士なんだから」
――兵士。
そう、俺達は兵士なんだ。
破壊ロボットを壊す……いや、殺すために作られた組織。
明かりの無い暗い部屋。
これが俺たちの家だ。ロボットの視点では見つかりにくい場所にある。
俺達の村は無くなった。
死体の山。飛び交う虫。
死臭や村の焦げたにおいが充満している。
平和はもう……無い。
(ミア……、俺はお前を殺す)
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yumaru
小説を書くのが好きで、漫才とドラえもんが大好物な人間です。
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