1000年後、僕は感情を持つロボットに恋をして世界を闇に染める 第九話

願い

「食らえっ!ペデュ―サアラク――……っ、ぐはっ!!」

 俺は犬型ロボットにガブッと肩を噛まれた。

「いってええええっ!!!」

 幸い肉までは食われてなく、歯型がつく程度ですんだが……。

 俺はヒリヒリと痛む肩を右手で必死に押えた。

「お前なあっ!せめて呪文言い終えるくらいまでは待つだろ!しかも俺初心者なんだぞ!?」

 どんな漫画だって変身する時や呪文唱えてる間くらいは敵待っててくれるだろ!? なのになんだよこの有様は!!

「嫌よ。だって私弱いもの。」

 いやまあ確かに、さっき藍色の本の隅に『魔女は攻撃魔法は使えない』と書いてあったような気もするが。

 女の子は『よくできましたね~』と言いながら犬型ロボットの頭を撫でている。犬型ロボットは犬型ロボットで、くぅーんと女の子の頬を舐めながら甘えている。

 何だこの状況は。
 まるで俺が舐められているみたいじゃないか。
 ……いや実際なめられてるんだろうけど。

 弱ったな……、露木みたいに呪文言わずに魔法使えたらいいんだけど。もっと修行しとくべきだったな。

 でも、こいつらを殺さないと、結局はこいつらが村の住民を食べてしまうわけだし。
 見た目小学生くらいの本当に小さな子だが、魔女なんだ。諦める訳にはいかない。

(……仕方ないっ、!一か八か!!)

 俺は腰にかけていた刀を手に取った。
 もちろん前持っていた刀は割れてしまったので、新しく買ったものだが。

 俺は、俺に気づかずに犬型ロボットとじゃれあっている女の子の元へ走って刀を大きく振り上げる。
 そしてそのまま勢いで切りつけた。

 その瞬間大きなパリーンという音が聞こえる。

 やったか!? 

 しかし次に見た時、倒れていたのは女の子の方では無く犬型ロボットの方だった。俺は確かに女の子の方を切りつけようとしたはずなのだが。

「シャロンっ!!」

 女の子は泣きながら犬型ロボットを抱き抱えた。

 まさか! 犬型ロボットがこいつを庇ったのか!? 

 いや……まあ、どっちみち犬型ロボットも殺そうとはしていたのだが、何だか予想外の展開に……。

 結構刀が効いていたようで破片がいくつか散らばっている。

 犬型ロボットは『ピポピポ……ピピピピ』としか言わない。

「……」

 なんだよこれ。
 まるで俺が悪いことしたみたいになってるじゃないか。
 そもそも事の発端はこいつらが悪いのに。

「……私を殺して」

 女の子は小声で言った。
 その声はまるで力が入っていなくて、もう既に死んでいるかのような顔をしていた。

 なんなんだよ本当に。
 本当にさっき殺そうとしていたのに。

 そんな泣き顔浮かべられたら殺せなくて。
 いっその事、敵が何の感情もない奴らだったらよかったのに。

「……なあ、どうして人間を食うんだ?」
「分からない……。私は人間を食べたことがないもの。」
「……え?食べたことないのか?」
「……うん」

 そうなのか。
 てっきり今まで食べてきたものかと。

「私のお母さんは人間を食べてしまったことで変わってしまったの……。」
 
 ああ……、なんかどっかで、人間を食べると人格が変わるって聞いたことがあるな。

 母親の方だったのか。人間を食べたのは。

 てことは待てよ? 魔女はもともと悪い奴じゃないってことか? 人間を食べてしまう事で本質が出てくる的な?

「それから私はずっとお母さんの命令に従ってきた……。こうしていろんな町の住民を眠らせて、私はずっとお母さんに何人もの人間を捧げてきたわ……」

 なるほど……。

「――っ、でももう限界なのっ!!」

 女の子は突然叫んだ。

「お母さんは私に『命令に背いたらお前も食べる』って言ってきた。それが怖くて、それにお母さんに好かれたくて、ずっと従ってきたの!でも今それと引き換えにシャロンが傷ついてるの……、もう嫌よ……っ!」

 そして、女の子はその後に続けてこう言った。

「お願い! 私のお母さんを殺して! 私はシャロンがいればそれでいいのっ!! 」

『続く』

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yumaru

小説を書くのが好きで、漫才とドラえもんが大好物な人間です。 小説は小説家になろうさんでも載せています。 https://ncode.syosetu.com/n7344fq/ よろしくお願いします〜。