#不思議系小説 第123回「粘膜サンシャイン25.」
Raining Blood 「この僕ひとり片付けるために、よくもこんなに暇な連中かき集めたね。ありがとうよ。一人も生きて帰さねえ」 僕は吸い込んだ気体が体の隅々に行き渡るような深い深い呼吸をして、全身の呼気を残らず…
ハイパーグラウンドに ようこそ
Raining Blood 「この僕ひとり片付けるために、よくもこんなに暇な連中かき集めたね。ありがとうよ。一人も生きて帰さねえ」 僕は吸い込んだ気体が体の隅々に行き渡るような深い深い呼吸をして、全身の呼気を残らず…
干潟のあぶく 自転車の部品や割れたプラ板、蛍光灯に電球がコイツの体をズタズタにしてくれないと、僕の気が収まらないじゃないか。どうしてくれる。こうしてあげよう。 僕はそのまま仰向けに倒れ込んだチビに向かって両足を揃えて飛…
干潟のあぶく 憧れのヒロイン、あぶくちゃんの勤めるオールドレコード・カフェ Cafe de 鬼 は、ニッポンバシオタロードにそびえる雑居ビルの3階にあった。ここまで道案内をしてくれたのは、僕が僕の傍らを偶然通りかかっ…
干潟のあぶく 黒髪ショートボブのクラシックなワンピースメイド服に身を包んだあぶくちゃん、と名乗る女の子がくるくる回ってケラケラ笑っている。 うだるような暑さの往来に無数のメイドさんがたむろしている中に、彼女が紛れている…
干潟のあぶく ニッポンバシオタロード。 狂乱の大勝利都市・トライアンフオーサカの持つ西の経済本拠地、物流大本営、革新的育脳教育ネットワークとしての顔の、そのまたウラの顔とも言える、雑多な文化が繁殖する混沌地域。昔ながら…
手のひらの中に、ずしりと重たいものが丸まっている。 蛇口から絶え間なく流れ続ける冷たい水を浴びて、泥や砂が落ちて、それが少しずつ綺麗になってゆくのを感じている。 目を閉じてジャガイモを洗う。 左右の手のひらで包み込むよ…
干潟のあぶく 黒髪もさもさで全身カミソリの切り傷だらけな色白たるたるボディのメンヘラ地味っ娘は期待通りの毛深さと腋毛の持ち主で、酒臭さと生臭さの混じりあった吐息を遠慮なしに僕の顔に吐き掛けながら、開けっ放しの窓にもお構…
墓碑銘の群れのように、灰色の霧の中へ沈み込んだ沈黙の街を包み込む赤い空を這いまわる黒く巨大なムカデ。 黒く太い体節に黄色い足が生えていて、節くれだった硬そうな関節たちが音も無く気味悪いほどスムーズに動く。頭部には同じく…
「コンニチハ! コンニチハ!」 甲高い機械の声で挨拶をする薄汚れたキリンの乗り物。小銭を入れるとジーーと鳴って歩き出す、年代物のキリンの乗り物。「コンニチハ! コンニチハ!」 振り向くと薄汚れたキリンは僕の目を真っすぐ見…
干潟のあぶく ゆっくりと美味しいかすうどんを平らげるのを待って、会計を済ませて店を出た。 さっきのお酒のお礼に、と僕の分まで彼女が払ってくれた。 二人して夏の真夜中、むせかえるような湿度のなかを並んで歩く。遅くまで営業…
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