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ボコボコ……ゴボゴボ……とフラスコの中で気泡の踊る音を立てて白くサラサラした煙を吸い込んだマノが、窓際の指定席(お店が空いている時は必ずこの席に座る、という程度のものだけれど)に深々と腰かけたまま天井のサーキュレーター…
ハイパーグラウンドに ようこそ
ボコボコ……ゴボゴボ……とフラスコの中で気泡の踊る音を立てて白くサラサラした煙を吸い込んだマノが、窓際の指定席(お店が空いている時は必ずこの席に座る、という程度のものだけれど)に深々と腰かけたまま天井のサーキュレーター…
21xx年、地球は巨大国家が海を挟んで睨み合い、資源や領域を巡って覇権を争っていた。 いっぽう度重なる経済的内戦によって国土の荒廃した日本では、派遣会社が全てを牛耳っていた。いつの間にやら可決されていたらしい法令によ…
黄緑色の泥濘のような物質はマノの胸ほどの高さで波打ち、ゆらゆらうねうねと蠢いていた。透明感は失せたものの体積は飛躍的に増大し、半球形のドーム状に体勢を保つほどの弾力も備えているようだ。 目玉や口と言った感覚器官や消化器…
「な。なんなん? 自分オレに何したん……やめえや、やめ、やめろ、やめろや!!」 初めは戸惑いうろたえていた栗永が次第に焦燥し、激高し始めた。「な、なんなの? マノ、あいつに何したの」「なあに、ちょいと踊ってもらうだけさ。…
次の瞬間、マノが猛然と反撃を始めた。素早い左右のコンビネーションがワッショイの顔面を両面から打ち据え、右足を軸に飛び上がったマノの左足がお祭り男の鳩尾を蹴り抜く。「お前らなあ、如何にも最先端かつ身近な情報と文化を担って…
「アイテテテ、すみませんすみませえーん!」「あの、この団地どうなってるのかなって、えっと、その……」 廊下の突き当りで浮かれた格好をした男女二人が、クソデカジャスティスの白装束二人組に腕を捩じられて連行されているところが…
ぽかーん、と立ち尽くす烏合の衆を向こうに回し、着地と同時に明るく快活に、腹から飛び出すような太く張りのある声で自己紹介を続けるマノ。「僕の名前はマノ! 今日は天気もいいし、イベント日和だね。そして記念すべきクソデカジャ…
「あのなあサンガネ、僕の飛行能力は見世物じゃないんだぞ?」「いいじゃないか。スカイダイビングで登場すれば大注目間違いなしだ!」「そりゃあそうだろうが、潜入捜査だろ? 目立ってどうする!?」「逆だよマノ。連中は自分より目立…
舎利寺によれば、現在オーサカに蔓延る文化粛清組織はマノが壊滅させた生野区のブリッヂクレインを含め、大きく分けて5つ。 残っているのは大正、西成、此花、そして阿倍野・天王寺。 租界の勢力と対立しているそれら組織それぞれに…
舎利寺は元・環オーサカ文化粛清軍の一員で、生野区に展開する部隊・ブリッヂクレインに所属していた。その経歴から各地に情報網を持っていて、時々ボクたちにそれを教えてくれた。「大正区だ。大正区の粛清軍はO.C.Pから正式にオ…
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