#不思議系小説 第182回「粘膜EL.DORADO 19.」
「軍服男の次はジャパニーズ・ニンジャのお出ましか。ワールドヒーローズだな、まるで」 そのゲームならボクも遊んだことがある。「マノ、そのゲームならポンバシの店にあるよ」「ホワッホッホ! 今度そこ連れてくザマス!」 マノがマ…
ハイパーグラウンドに ようこそ
「軍服男の次はジャパニーズ・ニンジャのお出ましか。ワールドヒーローズだな、まるで」 そのゲームならボクも遊んだことがある。「マノ、そのゲームならポンバシの店にあるよ」「ホワッホッホ! 今度そこ連れてくザマス!」 マノがマ…
「待たせたな」 僕はカマボコ板から受信した映像をマナ板くらいのサイズのタブレット端末に映し出した。露天商のみんなも一緒になって、押し合いへし合いしながら固唾を飲んで見守っている。 「死にたい奴からかかって来い!!」 そう…
韋駄天の如く駆け出したマノが左手を振り上げながらスキンヘッドの大男の首ったまに飛びつき、そのまま全体重を乗せて引きずり倒した。いわゆるランニングネックブリーカードロップという技で、「キャーッ!」 大男の肩から跳ね飛ばさ…
「サンガネー! ……ちょっと離しなさいよ、痛い!」「黙れぃ! 貴様ら全員まとめて粛清だ、我々は環オーサカ文化粛清軍ブリッヂクレインである!!」 まぁたおかしな連中がやって来た。 文化粛清軍ブリッヂクレイン……? 「ねえ…
「マノ」「おお、サンガネ。こりゃあいいチャイだぜ。何も言ってないのに砂糖抜きで出してくれるのが有難いじゃないか。香辛料がバッチリ効いてて、僕好みのチャイだよコレは」「お兄さん、えっとマノさんね。注文するときにコッチばかり…
租界にある博士のお店を出て、千日前通を東へ。 谷町、生玉の廃寺群を抜けて上本町から鶴橋まで来たら玉造筋を下る。体力があるうえに美人が居ると聞いたマノは元より、こう見えてボクも日頃は目ぼしいものを探しに出かけているから歩…
谷町スリーナイン、谷町スリーナイン、谷町スリーナイン……! 連呼されるそのフレーズが空虚についた名前。具現化された空っぽの虚像。空に浮かんだ虚無の泡沫。そう、オーサカ・シチー・プレヂデントこと谷町スリーナイン。 彼の…
狭い路地を抜けて海の家や閉店したままの土産物店の前を通り過ぎて、横並びになった小さな店たちのなかに、彼女のお店があった。来たほうから数えてひとつ、ふたつ、みっつ数えたら、そこに彼女のお店は無かった。いや、お店の建物自体…
裸の君を思い浮かべるよりも、黒い長い重たいコートを翻して波間で笑う君のことを思い出す時間の方が、いつの間にか長くなったよ。 昼間、店がヒマだとよく二人して砂浜に降りて行った。 一方通行の細い道路を隔てて、段差みたいな…
人間を穢せるのが人間だけなら、人間を聖められるのもまた人間だけなのだ。 僕は二階建ての終着駅の階段を一人で降りて、シャッターが下りて久しかろう売店の前を横切った。立ち並ぶ自販機に目もくれず、そのまま無人改札を出て南口…
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