#不思議系小説 第166回「粘膜EL.DORADO 10.」
当時のAssemble零(ゼロ)っちゅうたら死神が憑りついてお得意さんになっとるんかっちゅうくらいの、激戦区のなかの激戦区やった。ここに召集されるっちゅうんは、もうそれすなわち地獄行きの片道切符を寄越されたようなもんで…
ハイパーグラウンドに ようこそ
当時のAssemble零(ゼロ)っちゅうたら死神が憑りついてお得意さんになっとるんかっちゅうくらいの、激戦区のなかの激戦区やった。ここに召集されるっちゅうんは、もうそれすなわち地獄行きの片道切符を寄越されたようなもんで…
空白を限りなく凝縮して具現化した白いレンガを敷き詰めて伸びてゆく、退屈で憂鬱なWinding Roadをトボトボ歩く。 白けた気持ちと、冷めた記憶と、殆ど空っぽな心を後生大事に抱えている。 空虚を限りなく凝縮して具現…
「役所の人間から企業に至るまで、ある程度の管理職から末端まで。満遍なくパーソナルセンター経由の派遣労働者にソックリ入れ替えた後はマスコミや。戦後も破壊を免れた既設の放送・報道の拠点とその通信網を乗っ取って、自分たちに都合…
「無論だ」「オイオイ、お前なんぼ知事やっちゅうてそんな」「構わぬ。どうせ私は飾り物。この街の知事ではあるが、しかし実態は別……この租界以外は、全て奴等が支配している……よって存分に、ぶっ壊してくれたまえ」「ムチャクチャ言…
青い手すりの中央が手垢で黒ずんだエスカレーターに乗って地上に出ると、昼下がりの曇り空の下に広がる駅直結のバスターミナルだった。 昭和も昭和、それも昭和も半ばじゃ近代的だった駅直結型のロータリー形式ですらなく、行き先ごと…
白い階段を何処までも登ってゆく。柱も壁も踊り場も白い。そして南に向いた大きな窓の外には良く晴れた空と紺碧の海。嵌め殺しのガラス越しに差し込む陽光が、白い床に格子状の影を描く。 折り返し、折り返し登ってゆく白い階段。遥か…
ビルの外を誰かが駆けて行った音がする。「ね、ねえ! あの人ほんとに戦うの?」「勿論さ。マノならきっと大丈夫だよ」「でも……」「心配いらない、ボクたちが居ると思う存分に暴れられないんだ……だから、コレで」 ボクは懐から幾…
巨大な電氣菩薩が鎮座して、街を見下ろす峠のドライブインでひと休み。 駐車場はガラガラで停め放題、冷水機は傾いて凹んでるけど冷えてて飲み放題、店のガラスは割れ放題。 そんな建屋でも営業はしているらしく、そのいちばん奥に設…
片側8車線の巨大な高速道路のド真ん中を歩く。 ぎらつく太陽に照らされた地上数百メートルの高架橋が晴れ過ぎて黒ずんで見えるほど濃い青空と、輪郭が際立つあまり浮き上がって見える雲の彼方に向かって何処までも伸びている。 必…
奴の箱型キャビンの屋根部分にはレドームが搭載され、暗視、透視、凝視、霊視と凡そ見るということにかけては万能を誇っている。数キロ先でも瓦礫の山に埋もれた標的を見つけて、それを的確に踏みつぶしたり、レドームの隣に装備した機…
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