#不思議系小説 第184回「粘膜EL.DORADO 21.」
環オーサカ文化粛清軍ブリッヂクレインの誇る巨大兵器・巽参轟(たつみ・さんごう)も体格や威容では負けていなかった。丸っこい、殆ど球体に近いボディから短い脚がふたつ。側面にはやはり短い腕がふたつ。頭は球体のてっぺんではなく…
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環オーサカ文化粛清軍ブリッヂクレインの誇る巨大兵器・巽参轟(たつみ・さんごう)も体格や威容では負けていなかった。丸っこい、殆ど球体に近いボディから短い脚がふたつ。側面にはやはり短い腕がふたつ。頭は球体のてっぺんではなく…
顔じゅう血だらけのママの舎利寺がマノの胸板に横顔を押し付け、そのまま胴体を両腕で締めつけながら持ち上げた。岩のような巨体を誇る舎利寺の胸板の上で、まるで縛り付けられたように身動き取れなくなっているマノの全身の骨が軋んで…
「軍服男の次はジャパニーズ・ニンジャのお出ましか。ワールドヒーローズだな、まるで」 そのゲームならボクも遊んだことがある。「マノ、そのゲームならポンバシの店にあるよ」「ホワッホッホ! 今度そこ連れてくザマス!」 マノがマ…
「待たせたな」 僕はカマボコ板から受信した映像をマナ板くらいのサイズのタブレット端末に映し出した。露天商のみんなも一緒になって、押し合いへし合いしながら固唾を飲んで見守っている。 「死にたい奴からかかって来い!!」 そう…
韋駄天の如く駆け出したマノが左手を振り上げながらスキンヘッドの大男の首ったまに飛びつき、そのまま全体重を乗せて引きずり倒した。いわゆるランニングネックブリーカードロップという技で、「キャーッ!」 大男の肩から跳ね飛ばさ…
「サンガネー! ……ちょっと離しなさいよ、痛い!」「黙れぃ! 貴様ら全員まとめて粛清だ、我々は環オーサカ文化粛清軍ブリッヂクレインである!!」 まぁたおかしな連中がやって来た。 文化粛清軍ブリッヂクレイン……? 「ねえ…
「マノ」「おお、サンガネ。こりゃあいいチャイだぜ。何も言ってないのに砂糖抜きで出してくれるのが有難いじゃないか。香辛料がバッチリ効いてて、僕好みのチャイだよコレは」「お兄さん、えっとマノさんね。注文するときにコッチばかり…
租界にある博士のお店を出て、千日前通を東へ。 谷町、生玉の廃寺群を抜けて上本町から鶴橋まで来たら玉造筋を下る。体力があるうえに美人が居ると聞いたマノは元より、こう見えてボクも日頃は目ぼしいものを探しに出かけているから歩…
谷町スリーナイン、谷町スリーナイン、谷町スリーナイン……! 連呼されるそのフレーズが空虚についた名前。具現化された空っぽの虚像。空に浮かんだ虚無の泡沫。そう、オーサカ・シチー・プレヂデントこと谷町スリーナイン。 彼の…
狭い路地を抜けて海の家や閉店したままの土産物店の前を通り過ぎて、横並びになった小さな店たちのなかに、彼女のお店があった。来たほうから数えてひとつ、ふたつ、みっつ数えたら、そこに彼女のお店は無かった。いや、お店の建物自体…
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