#不思議系小説 第115回「バイバイマタネ」
「コンニチハ! コンニチハ!」 甲高い機械の声で挨拶をする薄汚れたキリンの乗り物。小銭を入れるとジーーと鳴って歩き出す、年代物のキリンの乗り物。「コンニチハ! コンニチハ!」 振り向くと薄汚れたキリンは僕の目を真っすぐ見…
ハイパーグラウンドに ようこそ
「コンニチハ! コンニチハ!」 甲高い機械の声で挨拶をする薄汚れたキリンの乗り物。小銭を入れるとジーーと鳴って歩き出す、年代物のキリンの乗り物。「コンニチハ! コンニチハ!」 振り向くと薄汚れたキリンは僕の目を真っすぐ見…
干潟のあぶく ゆっくりと美味しいかすうどんを平らげるのを待って、会計を済ませて店を出た。 さっきのお酒のお礼に、と僕の分まで彼女が払ってくれた。 二人して夏の真夜中、むせかえるような湿度のなかを並んで歩く。遅くまで営業…
苦須賀(にがすか)発、雨降りキノコ団地行き快速特急は定刻通りに苦須賀駅のプラットフォームからゆっくりと走り出した。紺色のボディに淡いクリーム色のラインが入ったツートンカラーのパシナ型機関車と、お揃いのペイントを施した客…
黄金の宮殿が波打つ水面でユラユラ揺れる。 大勢の人間が大量の野菜と香辛料を四六時中、刻み続けた。礼拝堂を訪れるひっきりなしの人いきれ。慎ましく裸足で暮らす人々の歌が高く丸い天井に渦巻いて絡み合い、冷えて固まった脳みそ…
冬の桜木町。 ランドマークタワーまで伸びる広場は改装工事中で、平日の昼間とあってアチコチでトンテンカンテンやっている。この街を造る連中が目指す、キレイでオシャレでアーバンな雰囲気を作り出すために、潮風に煽られてボワンバ…
干潟のあぶく 散々ぱら飲んだつもりだったがビックリするほどお値打ちな会計を済ませて、店を出るとピンクの彼女がコッチコッチ、と飛び跳ねるように先を走る。 薄暗い、半分廃墟のようなビルで真夏の真夜中、全身ピアスとタトゥーで…
干潟のあぶく 結局ダイゴローさんと話し込んで夜更けまで気分よく酒を飲み、ふらつく足で店を出た。コンクリート造りの地下通路に出ると流石にヒヤリとした空気が心地よいが、やはり湿っぽさが勝ってすぐに汗が垂れる。ヤニと香水とア…
干潟のあぶく 店にはカウンターの椅子が5席と、僅かな通路を挟んで小さなテーブルがひとつ。丸椅子がふたつ。それだけで、あとは店中をレコードから映画やライブのポスター、フライヤー、各々が持ち寄った書籍から打楽器、ギター、鍵…
干潟のあぶく 目を覚ますと、車窓の流れが心なしか緩やかになっているようだった。 どこの街並みもそう大きくは変わらないが、やはり旅先で見る建物や道路、線路、ヒトの流れというのはいいものだ。 特別室の旅は快適そのもので、実…
増え続けるコンテナ。赤白グレー緑ピンク黄色にブルーの差し色が入って。PaNCoMSoniA東亜貨物百客東西ASIAN Express 擦れて読み取れないものもある。無数のコンテナ。長方形のと、正方形のとある。ガントリー…
最近のコメント