第12回「君を迎えに行って15分後、僕たちは海の見えるラブホテルにいた」
喧騒。渋滞。リゾートホテルとマリーナとショッピングモール。小春日和。 小魚みたいな軽自動車とエコカーの群れの中をクジラのような大型トラックやトレイラーも行き来する海沿いの国道は、この先にバイパスが繋がるまでもう暫く混みあ…
ハイパーグラウンドに ようこそ
喧騒。渋滞。リゾートホテルとマリーナとショッピングモール。小春日和。 小魚みたいな軽自動車とエコカーの群れの中をクジラのような大型トラックやトレイラーも行き来する海沿いの国道は、この先にバイパスが繋がるまでもう暫く混みあ…
君は可愛いよ僕には君がいちばんさいつもみたいにそうよ私は可愛いって言ってくれよそれなりなんて言わないでそんなことない、なんて言わないでそうよ今日も可愛いって言ってくれよ今日も可愛いって言わせてくれよ アグアスカリエンテス…
庭の片隅の日当たりのいい場所にモウセンゴケの鉢植え。タライに水を張って、そこにちょこんと並べている。きらきら輝くタライの水が、毛先の粘球に反射して輝く。じっと覗き込むと粘球にうつる隣の粘球。そのまた隣の粘球に反射してうつ…
ケッキョク ナンニモ カワラナイそれなりに背丈が伸びた僕に敵わないとわかったら、祖父母に手をあげた老いた両親を僕の目の前で、僕のせいにして引きずり回してまたお前がお前がお前がお前がキライでお前が憎くてやってるんじゃないと…
シャガンデ マチヲ ミルこれくらいの背丈だった頃を思い出すマンションが増えた、信号機に矢印が付いた銀行の名前が変わった、コンビニが出来てなくなったずっと夕暮れだけを見てきたずっと夕焼けの空を見てきた僕は夜が好きだと思って…
raison d’être不幸な自分語りこの報われなさを見てください聞いてくださいこんなに頑張ってる自分で御座います何を言っても自分がいちばん不幸で不運でかなしくてやりきれないほど辛くってそれでも健気に頑張っ…
秋。 真夜中。 割と大きな県道沿いのコンビニ。 緑と白と青のコンビニ。 こんな時間でもトラックや営業車がひっきりなしに行き交っている、田舎のコンビニ。世間じゃどうだか知らないが、ここは毎日だいたい同じ。 大型トラックがや…
幼い子供の白いほっぺた つるつるすべすべ ぷにぷにのほっぺた きょろりとした黒目の大きな瞳 黒くもじゃもじゃの頭髪 甘酸っぱいにおいがする むちむちの手足 小さな手のひら 言葉にならない声 酸味のきついよだれの滴のなかで…
ホテルの駐車場は遅い午前中にもかかわらずそこそこの台数が埋まっていた。 バタン、とクルマのドアを閉める音がビニールの衝立に跳ね返って大きく響く。 自動ドアをくぐって無人のフロントへ。 パネルに表示された部屋のラン…
最近、昔なつかしいラブホテルからのメールマガジンが届くようになった。 そのホテルは遠距離恋愛をしていた頃に、彼女の地元でよく利用していたホテルだった。 別れるときにメルマガなんぞ解除するのも億劫で受信拒否だけしていたのだ…
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