疲れてしまうよ
誰かと一緒じゃなきゃ
生きられないなんて
誰かと一緒じゃなきゃ
生きてゆけないなんて
疲れてしまう
独りになろう どこか遠く
知らない街で暮らそう
静かな夕陽と 冷たい雨だけ
感じて生きていこう
茫漠とした大地に残された朽ち木
低く、いびつな幹に
空になんて届かなかった手を
伸ばしたまま死んだような
干乾びた枝にカラスが一羽
そんな景色のようなところで
貴女は歌っていたんだね
貴女がいなければ僕も
そんな景色のようなところで
枯れ木に向かって問い続けてた
壊れたはずの心なのに
疼いている気がするのは如何して
壊れたはずの心なのに
義足もつけられずに痛むのは何故
ひび割れた地面が延々と続く。黄色くかすむ空、その遥か遠くに街の影。死んだようなビルの群れ、墓碑銘のような佇まいを何日目指して歩いているだろう
砂と絶望の混じった風に閉ざされた空に浮かべる言葉も、貴女の顔もすっかり忘れてしまったのに。失くしてしまった思い出を拾うのにすら、この乾き過ぎた大地は不向きなのだろう。すぐに冷たい陽炎が現れて、何もかも砂と絶望の風に引き渡してヒュルヒュルと嗤う
何がおかしい、誰が嗤った、叫ぶ口の中がザラリと苦い
地面には干からびたクラゲが一匹。かすかな風に揺れている。潮の匂いが残る空気は薄曇りの黄色い空の下でゆっくり回りながら滞留しているみたい。息苦しくて、とても陸(おか)の上とは思えないほど、肩が重く足が沈む。心に広がる憂鬱と焦燥がそのまま徒労になって現出したような干からびたクラゲを憐れむほどの客観性も冷静さも失ったまま、足だけは今も冷たい陽炎の中で揺れる遥かな街の影を目指して歩き続けている
手を伸ばしても届かずに、枯れ果てた指先がカラスになって飛んで行く
消え去った自分の居た場所に朽ち木がひとつ
足跡は其処で途切れている
気持ちの奥底を探るために上着を一枚羽織る。まだ薄着で過ごすには、夜が少しさみしい。いつもより低くて赤い月が大きな顔をして、俯く街の灯りを遮って笑ってる
あの街の灯りどれか一つに君が居るから、地平線は輝いてる
今やアニメソングの金字塔も、かつては未知の新曲だった。審判を仰ぎ求め続けるために突き動かす原資は幻視、原始の原子。理屈や理由よりも理解出来ないし得ない倫理と利己が心に浮かぶ。光る石もお姫様も、全ては月明かりに照らされて揺れる
冷たい陽炎の中で揺らめく街の灯り、沈黙する時の墓碑銘
冷たい言葉をさらってゆく、勿忘草に花が咲く
冷たい陽炎に、沈む蜃気楼
茫漠の大地に吹く砂風に潮騒が混じり出す。海へ還りたくて、潮風が恋しくて生み出した幻聴がやがて幻影を伴って寄せては返す
街の影も時の灯りも黄色い空の彼方で笑ってる
黄色い空の色が鈍く濁った海の水面に溶けて
黄土色の潮騒が確かに遥かに満ちて来る
この引きずった足元を目指して、つま先からくるぶしへ
膝から肩へ、潮が満ちてくのを素肌の冷たさが知らせてくるけど、見つめる街の影やぼんやりした不安の太陽は鼓動に合わせてかすかに揺れて、ピントが合わずにゆらゆら動く。ズキリと痛む胸の奥でどくりと脈打つ心臓に合わせて瞳の肉がぶるりと震える。そのとき視線が少しだけずれて、ぐにゃりと歪む。濁った視界の片隅で一瞬だけ覗く天国への階段、天使の還る場所を目指して歩く僕の靴のつま先を踏む奴が居る
心を喰らい、影を追いかける奴が次の曲がり角で
僕の靴のつま先を踏む
踏まれた爪先から黒く濁って、鬱血した感情が行き場を失くし膨張する。やがて壊死した細胞から溢れた腐れEmotionが出口を求めて沸騰する。潮が満ちて、幻影も、孤影も、陽炎も、蜃気楼も、墓碑銘も、何もかも沈めてゆく。ここが海になるまで、望むままに潮が満ちるまで、臨海
帰り道を失くした感情が血潮になって満ちてく、膝から肩へ
還る場所を失くしたものたちが沸騰し瞳の中に脳の奥に心臓に注ぎ込んで流れ去ってゆく、臨界
海が呼んでる、潮が満ちてる、乾いた大地を埋め尽くした水面で揺れる
冷たい陽炎


最新記事 by ダイナマイト・キッド (全て見る)
- 48. - 2023年9月25日
- オルパンフェルフェル - 2023年9月20日
- 47. - 2023年9月18日
最近のコメント