#不思議系小説 第94回「粘膜サンシャイン6.」

If I Could Fly

「わかってくれたかな? 僕は、ただ君の妹とセックスしてただけだよ。君も、セックスしたことはあるかな? なくても知ってるだろう? 女の子ならだれでも、君の妹にも勿論ついてる、いやらしくて臭くて気持ちいい孔に、僕はおちんちんを入れて、気持ちよくしてもらってただけなんだ。それなのに……それを勝手に見て勝手に逆上した君の親父が邪魔をしたせいで、僕の最愛の恋人は転落死してしまった。僕はもう、あの子と一緒に気持ち良くなることも、あの子を気持ちよくしてあげることも出来ないんだ。嗚呼、可哀想な僕。そうだろう?」
 そうだろう、と言いながら逃げにじる坊やの顔を再び左右の手で張り飛ばす。バチン、バチン、ボチン! と手のひらがヒットするたびに、家具や畳に血が飛び散る。
「オイ、そうだって言え!」
「そ、そうでふ……!」
「うそつけ!!」
 座り込んだ坊やの頭を、側頭部への左足で後ろの襖ごと蹴り飛ばす。首筋から顔の側面にかけて直撃する心地よい衝撃と手応え、いや足応えを感じると、背筋がゾクゾクしてくる。

「よっこら、しょ」

 目を固く閉じたままの坊やの髪の毛を引っ掴んで、僕に背中を向けるように立たせる。そして腰の辺りを両手でクラッチして、そのまま後方に反り投げた。肩の上まで持ち上がったところでブリッヂをして後頭部か、下手すると頭頂部から地面に突き刺す超高角度殺人バックドロップ・ドライバーだ。
 これまでサシの勝負ならコレで何人を葬ってきたか。でもコイツは運がいい。下手をして頭頂部から突き刺さったものの、落ちたのが硬い地面ではなく畳の上だったために、頸椎の挫傷と脳震盪だけで済んだようだ。

 ぐったりするボンクラ坊やを再び無理やりに引きずり起こして、今度は左腕で顔面を右にねじって手首の硬い骨を頬骨に押しつけ、右腕は同じく相手の右腕を背中に回して肩と肘を極める。いわゆるチキンウィングフェイスロックのカタチにする。さっきのパンチで顎だけじゃなく頬骨も砕けかかっていたらしく、両手をロックして頬骨を押さえると殊更に暴れ出した。
「あぐもぉぉぉぉぉぉ! ああああーーっ!!」
「なあんだお前、ぜんぜん元気じゃん」
 そのまま軽く後方に体重移動しつつ少し腰を落として、自分の腹の上に相手の背中を乗せる。そのまま間髪入れず跳ね上げるようにブリッヂして、顎と首と肩と肘が極まったまま真後ろに投げ捨てる。タイミングと体重移動がキモになるのだが、相手の体格やダメージの度合いに合わせて投げるタイミングや体重移動の度合いを調整することが出来る。慣れるまでは難しいが、コツを掴めば豪快に決めることが出来るのでお気に入りの技だ。

 ところでこれは僕が開発したCWFスープレックスと言って、CWFはチキン・ウィング・フェイスロックの略だ。
 PTトルーパー社やトーカイドーWORKSなどの大手PMCが認定した戦闘訓練を受け、なおかつ実戦経験を積んだ上級兵士であっても、この技は受け身が取れず回避も出来ない。当たり前だ、世の中にデータが無いんだから。
 兵士であれ事務方であれ娯楽の巡業で在ろうとも、戦争に加担するものは誰でも流し込まれる血中遊撃型次世代ナノマシーンがアクセスするデータベースには存在しない。つまり、この世の中に存在しないことになっている技なのだ。
 どうだ、すごいだろう?
「凄いですって言え!」
 蹲って丸まった背中を蹴り込むが、反応が鈍い。もう壊れたのか? つまらないな。

「おっ、いいものがあった」
 八畳の和室には仏壇があった。仏壇には当然ロウソクがあって、ロウソクのそばにはマッチがあった。ロウソクとマッチを乱雑に掴み、和室の低いテーブルに障子紙や新聞紙、襖、雑誌、衣類など燃えそうなものを片っ端から集めてバラまき積み上げる。勿論、このガキの服も剥ぎ取ってそこに重ねた。でもまあ下着ぐらいは残してやる。

 オトコに関してだけ言えば、僕は面食いなんだ。

「冥途の土産に教えてあげないとね。君の親父と妹はレイプ未遂の転落死だった。これもホント。でもね、もっとウソみたいなのは君のお母さん。あの梅干しとキンタマ袋を力づくで合体させて日ざらしにして疲労感をべったり張り付けたような、口臭のキツいババア。アイツは僕に夢中だった。ベタ惚れしてたんだよ?」
「……!!」

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ダイナマイト・キッド
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