第22回「Destination Unknown/精神の旅路(2)」
後悔の潮水で満たされた赤い海 疑惑で視力を奪われた盲目の鯨 無意識の海の底は午前三時の夢 縫われた両目から染み出る涙が 後悔の海を赤く満たしてしまう 潰れた両目からあふれ出す涙で 後悔の海を真っ赤にしてしまえ 錯覚だ…
ハイパーグラウンドに ようこそ
後悔の潮水で満たされた赤い海 疑惑で視力を奪われた盲目の鯨 無意識の海の底は午前三時の夢 縫われた両目から染み出る涙が 後悔の海を赤く満たしてしまう 潰れた両目からあふれ出す涙で 後悔の海を真っ赤にしてしまえ 錯覚だ…
長い夢を見るときは、いつも列車に乗っていた 鉄道の夢を見るとき、私は必ずどこかへ向かおうとしている。だが、いつだって目的地に辿り着く前に夜明けが追い付いてしまい目が覚める 夢の中でいつの間にか目的がすり替わってしまって…
街角の楽器屋の二階の貸しスタジオ。タバコを吸うのはドラマーのソダ君だけ。その彼のタバコが少し離れたソファとテーブルからこっちまでふわりと漂ってくる。僕はマイクスタンドに据え付けたドリンクホルダーからドラッグストアで一本…
僕の話はつまらなかったかい通りすがりのコンビニビニールハウスバイパスインターチェンジなんてないいつも頭上を素通りしてくこの町はつまらないかい僕の話はつまらなかったかい 他の誰でもない自分になりたくて、どこにでも行ける気…
幾何学模様の描かれた壁が崩れて瓦礫になってゆく。建物だったもの、天井だったもの、床だったもの、階段だったもの。何もかも破壊され崩れ去った砂漠の街のアラベスク。空いちめん白く黄ばんで病んだ雲にどろりと溶けた液体の太陽。 …
まるでたった一人だけ水のない惑星に流れ着いてしまったような気分だったバラバラになった夢の欠片がひらひらと舞い散るここは記憶の最果て忘れられた追憶が降り積もる夢の島 曇天のまま夜暗闇を切り裂くように走る特急列車のシルエット…
正規国民はアビキに対する犯罪を厳重に取り締まるべく、新たにアビキを保護する法律を制定した。 しかしそこには労働環境に関する項目は一つもなく、ただ非正規国民によるアビキ被害を絶対に許さないというだけのことが記されていた。…
網引島(あびきしま)人間というのがいる。 通称アビキと呼ばれる安価な労働力として製造された人造人間で、2112年に網引島と呼ばれる人工島を建造する際に実用化されたためにそう呼ばれるようになった。 現在でも主に高所や水中…
午後4時。 雨上がりのアスファルトがギラリと光る。金色の光と、黄色い日差しの混じった空気が湿ったにおいと一緒に吸い込まれてゆく。 鼻から喉へ、肺から胸の奥へ。血管に溶けたオキシジェンが心臓に入って脳へ、脊髄へ、肩へ、腕…
青看板の白い矢印が延びる左右それぞれの行き先から浮き上がってくる真ん中の表示看板を飛び出して青い青い空に向かって延びる延びる矢印 海を見に行く。 もう秋も終わり冬の始まりだというのに、気持ちのどこかが夏の尻尾にしがみつ…
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