魔法
「ママ! パパっ! 」
僕は暗闇の中をひたすら走った。
僕のママとパパはどこに行ってしまったんだろう。
いつものように仲良くご飯を食べていたら、急に周りが真っ暗になって僕の前から消えてしまったんだ。
「翔真様」
後ろから女の子の声が聞こえた。
黒くて作り物のようにキラキラ光る綺麗な目をしている。
「君……、誰……? あ、それ……! 」
その女の子の両手には僕のお母さんとお父さんがいた。
「ママっ! パパっ! 」
僕はママとパパの近くに行こうとしたけど、なにかの壁のようなものにぶつかってそれ以上進むことが出来ない。
ママとパパは眠っているのか。目を瞑ったままダラっとしている。
床にはぽたぽたと赤いなにかが零れていた。
「ママ、パパ……? 」
「翔真様」
女の子はママとパパを放り投げた。
バタンと大きな音がした。
女の子は僕に近づいてくる。
そして女の子は僕のおでこにそっと触れた。
怖くて足が動かない。
何で。怖い。誰。喋れない。怖い……!
「うっう……」
「大丈夫ですよ。翔真様 私が直ぐに忘れさせてあげますから――……」
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「はっ!! 」
俺は目を覚ました。
変な夢を見ていたような気がする。内容はよく覚えていないが……。
「……大丈夫? 随分うなされてたようだけど」
「露木っ!? 」
びっくりした。
いきなり露木が顔を覗きこむから。
「何よ、そんなに驚かなくたっていいじゃない……」
「って言われても……っつ! 」
「まだ安静にしてなね。掠ったとはいえ一応攻撃くらったんだし」
ああ……、そうか。
俺の脇腹には目立つ傷があった。
ズキズキと痛む傷を見て、ようやく昨日のことを思い出す。
「そういえば、昨日あの後どうなったんだ? 」
「去ってったわ。何か急に破壊ロボットの動きが停止してね、数秒してからどっか飛んでったの」
(……どっか飛んでったのって……)
でも、何故動きをとめたのだろう。
その時何かがあったのか?
「それと、レオルは破壊ロボットが撤退した影響で、そこまで被害は大きくならなかったから。」
「そうか……」
……よかった。
俺は何もしていなかったけれど……。
リーダーは相変わらず強かったな。
露木も強くて……。
露木……、
「露木!! 」
「ちょっ、何?いきなりでびっくりしたんだけど 」
「ああ悪い。昨日のあの、お前が手を振りかざした瞬間光に包み込まれてさ、破壊ロボットの攻撃効かなくなった時あっただろ? あれはなんだっ!? 」
あの時俺はあのシールドによって守られた。
あのシールドは……なんだ?
「あれは……」
「お前なら、使いこなせるかもな」
急に男の声がして、ドアの方を見た。
リーダーだ。
「ついてこい。お前にも教えてやるよ、魔法をな。」
『続く』
yumaru
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