1000年後、僕は感情を持つロボットに恋をして世界を闇に染める 第七話

 

俺は右手を空へとかざしながら、本に書いてある文字を読んだ。

「ぺデゥーサアラクレパルモーレ! 」

 シーン……。

「……?」

 おかしいな、何も起きない。
 仕草が違ったのかな。

 俺は右手を差し出して、今度は力を込めて読んだ。 

「ペデゥーサアラクレパルモーレ! 」

 シーン……。

 しかし何も変化が無い。
 体に力が湧き上がってくるような、そんな感覚すらない。

(え……? もしかして俺って才能ない……?? )

「おかしいですね……」
「ああ、おかしいな……」

 待ってこれ主人公無能ENDだったりするの!?
 おれそんなのやだよ!??

 俺はやけくそになっていろんな体制で試した。
 時にはジャンプしたり床に手を押し当てたりしながら。

「ぺ……、ぺでゅーさあらくれぱるもーれ……」

 かれこれ何回試したのだろうか。
 運動不足の俺は、はぁ……っ、はぁ……っと情けないほどの荒い呼吸をしていた。

「なんでだ……、俺には無理なのか……っ!? 」

 俺が諦めかけたその時!

「――っは!! 」

 リーダーが突然言った。

「すまん樫村! 真実の部屋内では、神聖な場所な為魔法は使えなかったっ!! 」

「えっ!! 」
「あー……、そういえばそうだったわね。忘れてたわ」
「えーっ!?? 」

 俺は呆れ返って、思わずその場に座り込んでしまった。

━━━━━━━━━━━━━━━

……そんなわけで、俺たちは外に移動した。

「よし樫村、今度こそお前の力を見せてみろ! 」

 大丈夫かなこの人……。
 いやでも実力は確かなんだよな……。

「すぅー……、はあー……」
 
 俺は気を取り直して深呼吸する。

 そして右手を空に振りかざした。

 
(俺の魔法を見せてみろっ!! )

「ペドゥーサアラクレパルモーレっ!! 」

 静かな風が吹き、周りの草や花が揺らめき始める。

「これは……」

 リーダーの目付きが変わった。

 
 風はだんだん強く吹き始める。
 そして手に何か凄まじい力を感じたような気がして、俺は自然と振り上げていた手を前に差し出した。

 その瞬間!

 バンッ!!

 大きな爆発音と共に、目の前にあった木が突然破裂し出したのだ!

「嘘……だろ……」

(これ……、俺がやったのか……?)

 しかも、葉はパサパサになって枯れていた。

「―――凄いなっ! 樫村!! 」

 リーダーは笑顔で駆け寄ってくる。

「この魔法があれば、破壊ロボットとの戦いでかなり有利になるぞ! 」
「は、はい……! 」

 俺の心臓の音が高鳴っているのが分かる。

 こんな魔法が使えるなんて、俺ってもしかしてかなり凄いんじゃないか……?

「……」

 俺とリーダーが喜びあっている中、露木は不満そうな顔を浮かべていた。

「……露木、どうした? 」
「いいえ、なんでもないわ。……凄いじゃない、よかったわね」

 露木はそう言って、背中を向けどっかに行ってしまった。

「この技を磨けば、もしかしたら2、3体一気にバーンってできるかもしれないなっ! 」
「そうですね……」

 どうしたんだ……?

 俺は遠くなっていく露木の背中を何となく見ていた。
 

『続く』

The following two tabs change content below.

yumaru

小説を書くのが好きで、漫才とドラえもんが大好物な人間です。 小説は小説家になろうさんでも載せています。 https://ncode.syosetu.com/n7344fq/ よろしくお願いします〜。