はじめに Introduction

はじめに、このコラムはナンパについてのコラムだ。
知らない人に声をかけ二時間後にはベッドにいる。
彼女のことは名前しか知らない。
名字も、生年月日も、出身も、家族構成も。

この世界は残酷だ。
そして見かけによらずワンダーランドだ。

人によっては不快な思いをさせてしまう記事になるかも知れない。
浮気や不倫、その日に知り合った人との性行為、ゆきずりの恋など、絶対に許せないという人はここで読むのをやめて欲しい。

「声をかけてくれてありがと」

彼女は、そう言った。
そう言われたときに救われた気がした。
何人にも声をかけては無視をされ、誰にも相手にさせず、世界から拒絶された、
彼女はそんな僕を受け入れてくれた。

彼女がどこで生まれ、どんな生活をし、過去にどんな男と付き合い、誰と暮らしているかさえ知らない。それどころか、名前さえ本名かどうか確かではない。それなのに心と身体が繋がることがある。

不思議だ。
彼女も僕も、ここでこの瞬間を待っていたような気がする。
もともとこうなることは決まっていて、このために今まで生きてきたような気にさえなる。

ありがとうと言いたいのはこちらのほうだ。

誰にでも心に冷たい雨が降るときがある。
仕事がうまくいかないとき、人に傷付けられたとき。
理由が分かっていればまだマシだがなんとなく、意味もなく寂しくなるときがある。
これが一番厄介。

なんだか悲しいとき。

そんなときは誰でもいいから話を聞いて欲しくなるときがある。
誰でもいいから優しく抱きしめて欲しいときがある。
そんなときにふと見知らぬ人に声をかけられる。
生きるのに疲れたけどもう少し生きてみてもいいかな、と思える出会い。

一瞬の雨宿り。

どんな歳であれ、どんな人であれ、男と女が出会う限り、ちょっとした確率で恋は生まれる。
短いけれど、本気の恋。

両親が離婚してずっと施設に入っていた子。
不妊治療で子どもがなかなかできない子。
彼氏が浮気をしている子。
何人とも不倫をしている子。
SEXで乱暴されてSEXが怖い子。

寂しさを紛らわすため、快楽のため、誰かに必要とされていると感じるため、彼女たちが求めるものは様々だ。
そんな彼女たちのことをビッチや軽い女などという人がいるかも知れない。
でも人はそんなに強くない。
人は人の温もりの中でこそ孤独を知り、孤独を感じる。

どうしたら人は孤独から解放されるのか。
二度と会わないと分かっている人だから言えることもある。
友達じゃないから言えること。
恋人じゃないから言えること。
家族じゃないから言えること。

それはまるで
ラジオにメールを送るように。
SNSの裏アカで呟くように。
5年ぶりくらいに偶然街で出会った元カレに話すように。
知らない誰かだからこそ言えることがある。

人の孤独は
一人でもいい
一人でもいいから、味方になってくれる人がいれば、心は救われる。
一人でも、話を親身に聞いてくれる人がいるだけで、心は救われる。
愛とはそんなものなのかも知れない。

世の中には色々なことで人を救う人がいる。
言葉で、文字で、ラジオで。
誰もがみな寂しさや、孤独、得体の知れない不安を抱えて生きている。
そこを感じとり、声をかけて埋めてあげる。

「出会いで人を救いたい」

ナンパは惨めな自傷行為だ。
路上で、知らない女性たちに声をかけ続ける。
それでも、挑まずにはいられない。得体のしれない他者と一瞬つながり、離れていく。
別れるために、出会う。

巷には半年で50人を抱いたや、Fカップ美女を即など、自らの欲望を満たすためのナンパで溢れている。
自らの欲望を満たすためのナンパはなく、声をかけて知らない誰かを救う。
決して数や、セックスがゴールでないナンパ。

形のない何かに怯え、この世界に絶望した、そんな彼女たちを救える男が増えればいいと思ってこの記事を書く。
自己の欲求を満たすためでなく、誰かのためになるナンパ。
この絶望的で不条理で、理不尽な世の中を変える。

「世界のワンダーランド化計画」

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