もしも、僕がね、もしも空を飛べたらどこへ行こうか
呆然と過ごしている日々に浮かんでいるみたいな思考が
どこまでも抜けるように青い空へと飛んで行く
空を飛べたら、どこへ行こうか
どこか行きたいような場所が
僕にあるだろうか
気持ちや精神と言うものが滅んだ世界と、物質とか科学とか形あるモノが消えうせた世界。どちらに向かっているのだろう。
お金やモノじゃ気持ちを動かすことは出来ないという人が居て。
全ては科学に根拠を求め、解析することが可能だと思っている人も居る。
ヒトの気持ちというものを利用したい奴は前者の、科学を悪用したい奴は後者の肩を持つ。理解者を求める孤独な求道者ごっこに興じている奴らは、そうした上辺だけの利用者であっても歓迎して取り込まれる。
声をあげることと、声だけデカくて何もしないのは天地の差がある。デカいだけで邪魔な声、いつも的外れで迷惑な声、自分勝手で独り善がりの声。そんな声に限って邪険にされることを何より嫌って猶更やかましく怒鳴り続ける。
俺のお気持ちを、アタシの感情を、尊重しろ尊重しろ尊重しろ!
まことの地獄というものは絵本に出てくる針の山でも、血の池でも、炎の海でもない。永遠に抜け出すことの出来ないぬるま湯ほどの泥沼だ。
真っすぐ伸びた国道
良く晴れた空に煙突
真っすぐ伸びた白煙
良く晴れた空に慟哭
発電所、煙突、配管、青空、白煙、陽光、湾岸、ソーラーパネルが笑ってる
集積所、変哲、哀願、顔腫、黒煙、茫洋、判断、ソーラーパネルが燃えてる
見上げた街、見下ろす街、大動脈は脳梗塞、大渋滞右往左往大往生
静かな夜がじわじわ去って、また明るい朝が来る。午前7時の憂鬱は一人で生きてても二人で暮らしても変わりはしない。誰とも話さないか、二人が離れ離れになるのか、だけが違う、誰もが等しく憂鬱でかったるい朝。
誰も彼もが活躍したいわけじゃない。そっとしておいて欲しいのに、探し出されて引っ張り上げられて、衆目に晒し上げられて、怯えながら震えながら取り組ませ、何か一つでも失敗したら吊るし上げられる。
自分の耳にだけ心地よい美辞麗句を他人に散々押し付け浴びせた挙句に嘲笑う。それが日向者の暴力。眩しいがゆえに日陰のことがわからない。
日陰から日向を嘲笑うのも、日向から日陰を論うのも、実はそんなに変わらない。どこまでも他人に無頓着で、何もわかってない癖にわかったようなことを言う。そしていつだって世の中は日向者が正しくあろうとする。
日向者が言う方が正しいのだろうと思いこもうとする。自分も日向の隅に座らせて欲しいから。
時々思い出す
手鏡の中の葛藤
もう忘れたはずの傷
遠い、誰も知らない道
風が止まない、心も病まない
体が止まらない、何も残らない
誰の気持ちに立って生きればいいんだろう。君のこともわからないし、アイツのことはもっとわからない。わかる気も無いような、わかってやる気も起きないような奴らに限ってわかりやすいお気持ちを前面に翳して迫ってくる。わかってやったことにして、一歩引いたら得意顔をして去ってゆく。その背中に投げても良い石ころはどこに行けば落ちている?
死ね、死ねと言う声はいつだってすぐそばで聞こえている。殺せ、と言い出したら終わりなのか、もう終わってて程度の問題なだけなのか。死ね、死んでしまえ、誰かのせいにしてお前だけ楽になってしまえ。そしてさっさと忘れられて、どこにも存在しなくなれ。
覚えて刻んで暮らす奴なんて滅多にいない。そんな僥倖に与るくらいならさっさと死んで忘れてほしい。
自分にそんな価値があるとかないとか、褒められるとか貶されるとか、そういうレベルの話じゃない。そういう話に参加したくないから、早くいなくなりたいのに、みんなみんな私を勝負の場に引きずり出して、自分の言ったことが正しかった、と他人の人生を踏み台にして明かそうとする。自分以外の誰かに向かって、私の見る目は間違ってない! と喧伝して得になるのは誰なのだ。
私を素材にしないで欲しい。私を話題にしないで欲しい。私を信頼しないでほしい。私を認識しないで欲しい。私を承認しないで欲しい。私を比較しないで欲しい。私と比較しないで欲しい。私に私を続けさせないで欲しい。私は私を続けないで欲しい。私は私であるけれど、私の知らない私が居たとして、私が私を見つけてもそっとしておいて欲しい。
見下ろす街の大動脈
見上げた高架のハイウェイ
煙突、青空、橋脚、バイパス
掃いて捨てるほどの日常が行き交い
通り過ぎるこの場所で
ふわふわと浮かび上がって飛んで行く
ホネホネUFOの子守唄
空が飛べたら、どこへ行こうか
デビュー作「タクシー運転手のヨシダさん」を含む短編集
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